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祇園のお茶屋で

中国割烹というなかなか新しいスタイルの祇園「月居」でお食事した後、花見小路にあるお茶屋さんに連れて行ってもらった。

お茶屋さんといっても、今はたいてい暖簾をくぐるとちょっとしたお店になっており、カウンターやボックス席のある品の良いスナックのようなつくりになっている。もちろん奥に立派なお座敷を構えているところもあり、そこで宴会を行うことももちろんある。

そのお茶屋さんはお座敷もあるが店内にボックス席もあり、もちろん自分ところで舞妓や芸妓だってたくさん抱えている。私達がカウンターに座って飲んでいると間もなく舞妓ちゃんが登場した。ボックス席でこれから"テーブルお座敷"が始まるようだ。今は大層なお座敷を催して舞妓や芸妓を呼ばなくとも、多少の予算とコネがあればこうしてボックス席にでも来てくれる。ちょっとかさばるホステスさんというところだろうか・・・。後からやってきた男女4人のお客さんは、小一時間、舞妓ちゃんと記念写真を撮ったり質問攻めにしたり、よほどお酒の席らしくない雰囲気ではあったが、お茶屋さんも、舞妓ちゃんも、随分身近になったものである。

とはいえ、お茶屋さんは一見さんお断りが基本。
よそ者にしたら一見感じの悪い習わしで、いかにも京都ならではの排他的なイメージに映るかもしれない。でもこれこそが花街の伝統的なしきたりであり、このしきたりによってお茶屋と顧客の厚い信頼関係が築かれているのである。もっと言えば顧客を大切にするからこそ、よそさんを安易に受け付けないのである。舞妓や芸妓を気軽に呼べるようになり、花街の雰囲気も身近に味わえるようになったが、私は手の届かない世界があってもいいと思っている。長年続いてきた伝統やしきたりをなんでもかんでも書き換え、親しみのあるものにしてしまわず、その世界はその世界で威厳を持って守り抜く心意気も大切な気がする。だから一見さんお断りは大衆に迎合しないひとつの指針として、これからも守り抜いて欲しいものだと思っている。

連れて来てくれたKさんの東京の知人3人が、先週舞妓や芸妓を呼んでそのお茶屋で遊んだそうだ。Kさんは彼らがどんな様子だったか気になっている様子である。客ながらお茶屋に失礼がなかったか、気にしているところがお茶屋との関係を物語っている。東京の人はもちろん祇園のしきたりなどに慣れていない。だから通常1〜2時間で切り上げなければならないところ、どうも3時間ほど長居をしてしまったようで、おかあさんがお開きの合図にうどんの出前を頼んだ、という話をおもしろおかしくしていた。

お茶屋は銀座のバーや新地のキャバクラでもない。伝統ある祇園のお茶屋さんで遊ぶ時は、遊ぶ方にもそれなりの心得とマナー、あるいは教養が必要とされるのである。堅苦しい、と言われてしまえばそれまでだが、そういう場所でお酒を飲み、マナーやしきたりを心得てもてなされ方を知っている人こそ大人の男というものである。そういう学習も、なかなか身につけにくいご時世ではあるが、お茶屋さんに行かない限りは身に付かない。冗談で私が「お茶屋遊びのルールブック」を作ったらどうかと言ってみたが、それも随分無粋な話だな〜と言ったハナから思った。

なんでもマニュアル化したら学べるというものでもない。自らがその世界へ踏み込んで肌で感じ、学習しなければ身に付かないことも多々ある。あるいは人から人へ伝えられていくしかないマナーやしきたりも数多くある。マニュアル化されない大人の学習だからこそ経験が必要とされる。しかし京都の中でも、お茶屋遊びの経験すらないオトコなんて山ほどいる。東京では既に赤坂あたりの料亭がつぶれ、コリアンタウンと化してるそうだが、粋筋が廃れていくと、そういう伝統的な習わしも、目に見えないオトコの学習もやがて消えていくのだろう。

これからの世の中、ますますイケてない男が増えそうな予感だけは確かな気がする・・・。

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コメント

こんばんは。
突然すいません。
ボクもお茶屋バーに行ってみたいんですけど、お店の名前を教えていただくことはできませんか?

投稿: ボウ | 2010年5月 5日 (水) 22時26分

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