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Lost in translation

頭痛が直らず寝て過ごすうち、BSで映画「Lost in translation」を観た。
この映画は劇場で観たのだが、TVでもう一度じっくり観てみるとなかなかいい映画だなと思った。最初に観た時は、ヘタな通訳やコマーシャルフィルムの制作現場、のっぺらぼうな日本人の描き方などばかりが気になって、それらが「Lost in translation」というタイトルと安易に結びついてるような、これまでの外国人が描く日本と同じような印象ばかりが先だってしまってあまりよく思わなかった。でも改めて観てみると、もっと奥深いメッセージが感じられてなかなかいい映画だなと思った。

「I'm stuck」

シャーロット役のスカーレット・ヨハンセンが、ボブ役のビル・マーレイに打ち明ける。夫婦関係も疎外感でいっぱいの彼女は、日本に来て何を見ても感動せず、いつもうつろだ。いろんなことに行き詰まってることをただゆきずりのボブに話す。ボブも倦怠期の仕事や家庭生活について語る。Lost in translationは、日本語に訳すのが難しい言葉であり感覚だと思う。単に翻訳で失われるもの、という語学としての意味だけでなく、夫婦や親子、友人など、いろんな人間関係で本当の自分が通じないコミュニケーション、人生に迷っている様を表しているのだろうが、そういう中で描かれるシャーロットとボブの心の通い合いがすごくピュアだ。

身近な人達と心を通い合わすことができないでも、得てして見知らぬ人の中に同じような自分を発見することがある。そんな出会いを描くには、東京というあらゆるものが混在する東京という街は格好の舞台なのかもしれない。年齢も、住む環境も、バックグランドも違う、アメリカ人のシャーロットとボブが異国の地東京で巡り会い、単純に色恋というハナシに陥らずに心を通い合わせていく様には、繊細で心温まるものがある。スカーレット・ヨハンセンとビル・マーレイが、そのピュアで温かいふれあいをすごく上手く演じている。ネオン街やゲームセンター、カラオケやしゃぶしゃぶレストランなど、いろんな東京のシーンが出てくるが、外国人の手によって描かれるとそのどれもがなんだか自分にとっても異邦という気がした。この映画は、東京という不思議な国で出会った大人を描いた絵本という気がしてくる。

ボブがアメリカへ帰る日、空港へ向かうタクシーの中からふとシャーロットを見つけて掛け寄り、最後に何かささやきハグして別れる、というラストシーン。よく見るとこれまでになくしっかりチューしていた。最後に彼女にささやく言葉は何だったのか、気になって仕方ないが、携帯の電話番号やメルアドなどでなかったことは確かだろう。それをあえて音声にせず、観た人の想像に任せるところもニクイ。結局この映画はソフィアコッポラの才能をガンガンに感じる作品だった。

もうすぐ日本で公開される、ソフィアコッポラ監督の新作「マリーアントワネット」もちょっと観てみたい気がした。

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